
FP2級実技の所得税の計算問題が難しいです。
どうすれば解けるようになりますか?

配偶者控除・扶養控除などの控除額を暗記することと、過去問を何度も解いて計算方法を覚えることです。
FP2級実技の所得税の計算問題は、計算式や控除額をきちんと覚えていないと解くのが難しいですよね。
問題が解けるようになるには、控除額を暗記して何度も過去問を解くのがコツ。
今回はFP2級実技の所得税の計算問題が苦手な人向けに、詳しい解き方を紹介します。

もし今回紹介した解き方で分からないところがあれば、気軽に質問してくださいね。
- FP2級実技の所得税の問題が苦手な人
- 詳しい解き方が知りたい人
FP2級実技対策 所得税の計算問題の解き方
2022年1月実施 パターン1 所得金額調整控除があるとき
設例

問題
Aさんの2021年分の所得金額について、次の①、②を求め、解答用紙に記入しなさい(計算過程の記載は不要)。
なお、総所得金額の計算上、Aさんが所得金額調整控除の適用対象者に該当している場合、所得金額調整控除額を控除すること。
また、<答>は万円単位とすること。
①総所得金額に参入される一時所得の金額
②総所得金額
<資料>給与所得控除額
給与収入金額 万円超 万円以下 | 給与所得控除額 |
---|---|
~ 180 | 収入金額×40%−10万円 (55万円に満たない場合は、55万円) |
180 ~ 360 | 収入金額×30%+8万円 |
360 ~ 660 | 収入金額×20%+44万円 |
660 ~ 850 | 収入金額×10%+110万円 |
850 ~ | 195万円 |
一時所得の解き方
1.設例から、一時所得を計算します。
【一時所得の計算式】一時所得の収入−費用−特別控除額50万円
問題文の一時所得は、生命保険の解約返戻金です。
2.一時所得の計算式に当てはめると、解約返戻金額600万円−正味払込保険料500万円−特別控除額50万円=一時所得50万円
3.総所得金額に参入するときは、一時所得×½です。
よって、一時所得50万円×½=①25万円
こたえ ①25
総所得金額の解き方
1. Aさんは、給与収入が850万円超なので、所得金額調整控除ありです。
【所得金額調整控除(上限15万円)】(給与収入−850万円)×10%
所得金額調整控除の計算式に当てはめると、(給与収入900万円−850万円)×10%=所得金額調整控除5万円
2.次に給与所得を計算します。
【給与所得】給与収入−給与所得控除額−所得金額調整控除
設例と資料から、給与収入900万円、給与所得控除額は195万円、1で計算した所得金額調整控除は5万なので、
給与所得の計算式に当てはめると、給与収入900万円−給与所得控除額195万円−所得金額調整控除5万円=給与所得700万円
3.不動産所得の土地の取得にかかる利子は損益通算できないため、
不動産所得は、▲100万円+10万円=不動産所得▲90万円
総所得に参入する一時所得は、①で計算した額 一時所得25万円
退職所得は分離課税のため総所得に参入しません。
4.上記で計算した金額を全て足して総所得金額を求める
給与所得700万円−不動産所得90万円+一時所得25万円=総所得金額②635万円
こたえ ②635
こたえ
①25
②635
2021年5月実施 パターン2 所得調整控除がない場合
設例

問題
Aさんの2020年分の所得税の算出税額を計算した下記の表の空欄①~③に入る最も適切な数値を求めなさい。
なお、問題の性質上、明らかにできない部分は「□□□」で示してある。
(a)総所得金額 | ( ① )円 |
生命保険料控除 | □□□円 |
地震保険料控除 | □□□円 |
扶養控除 | ( ② )円 |
基礎控除 | □□□円 |
(b)所得控除の額の合計額 | 2,100,000円 |
(c)課税総所得金額(a)−(b) | □□□円 |
(d)算出税額((c)に対する所得税額) | ( ③ )円 |
<資料>所得税の速算表
課税総所得金額 万円超 万円以下 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
~ 195 | 5% | 一 |
195 ~ 330 | 10% | 9万7,500円 |
330 ~ 695 | 20% | 42万7,500円 |
695 ~ 900 | 23% | 63万6,000円 |
900 ~ 1,800 | 33% | 153万6,000円 |
1,800 ~ 4,000 | 40% | 279万6,000円 |
4,000 ~ | 45% | 479万6,000円 |
総所得金額の解き方

所得と収入の違いについて。
収入は税金を控除する前、所得は税金を控除した後です。
1.Aさんの場合、所得調整控除は不要
2.設例から総所得に参入するのは、事業所得、不動産所得、一時所得の3つです。
3.事業所得はすでに税金が控除されているので計算は不要
4.不動産の土地に係る利子はないので、利子の控除は不要
5.一時所得は、満期保険金525万円−保険料500万円−特別控除額50万円=▲25万円で、特別控除額50万円を下回っているため総所得に参入しません。
6.よって全て合計すると、事業所得600万円−不動産所得100万円=総所得金額500万円
こたえ ①5,000,000

問題によって万円で答えるときと、円で答えるときがあります。
解答用紙をよく見て記入ミスに注意しましょう。
扶養控除と所得税額の解き方
1.設例から扶養家族は、長男Cさんと母Dさんの2人です。
長男Cさんは9歳なので、扶養控除なし
母Dさんは70歳以上で同居のため、老人扶養控除58万円
2.よって2人の扶養控除の合計金額は、58万円です。
こたえ ②580,000

扶養控除額を暗記しておきましょう。
扶養控除額
所得控除 | 年齢 | 控除額 |
---|---|---|
一般扶養親族 | 16歳以上 | 38万円 |
特定扶養親族 | 19歳以上~23歳未満 | 63万円 |
老人扶養親族(同居) | 70歳以上 | 58万円 |
(同居以外) | 70歳以上 | 48万円 |
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1.①の解答から総所得金額は500万円、所得控除は問題文にある210万円です。
2.よって課税総所得金額は、総所得金額500万円−所得控除の合計額210万円=290万円
3.あとは課税総所得金額から、速算表を使って所得税を求めます。
290万円×10%−9万7,500円=192,500円
こたえ ③192,500
こたえ
①5,000,000
②580.000
③192,500
まとめ
FPの実技は、ある程度パターンが決まっているので、解けない人は、過去問を繰り返して解き方のパターンを覚えましょう。

過去問を何度も解いているとパターンが分かってくるので、解けるようになりますよ。
今回の記事の解き方を参考に問題を解いてみてくださいね。