FPファイナンシャルプランナーの実技は、計算問題があります。
人によっては、学科よりも実技の方が難しいと感じるかも。

実技試験がいつも解けません。実技試験の対策は何かありますか?

実技試験の対策は、学科の基礎知識をしっかり身に付けること、計算式や控除額を覚えることです。
実技の問題を解くためには、学科の基礎的な知識を身に付けることが大切です。
さらに学科と違うのは、計算問題があること。
よく出題される控除額や計算式をしっかり暗記して覚えれば、実技の問題は点数が取れます。
今回は、FPファイナンシャルプランナー実技試験の対策として、実技の覚えることを紹介します。
>合わせて読みたい【2023年度】FP3級・FP2級 きんざいの試験日程と受験手数料はいくら?
>合わせて読みたい【FP・宅建】資格の試験当日の心得とおすすめの食べ物
- 実技だけ毎回落ちる人
- 実技で覚えることを知りたい人
FP実技対策 実技問題で覚える計算式
FP3級・FP2級共通です。

FP3級を受験する人は、関係のない箇所を飛ばしてくださいね。
FPの実技でよく出題される計算式と控除額を覚えておけば、実技対策はバッチリです。

法改正の勉強もしておけば安心ですね。
>合わせて読みたい【最新2022年の法改正】 FP3級・FP2級共通 9月試験対策
老齢基礎年金の繰上げ | 0.4%×繰上げた月数 |
老齢基礎年金の繰下げ | 0.7%×繰下げた月数 |
付加年金 | 年額=200円×月数 |
所得金額調整控除 | (給与収入−850万円)×10% 上限15万 |
一時所得 | 満期保険金額-正味払込済保険料−特別控除50万円 |
退職所得控除額 | 【20年以下】70万×勤続年数 |
【20年超】800万+70万×(勤続年数−20年) | |
退職所得 | 退職金-退職所得控除額×½ |
シャープレシオ | (収益率−無リスク資産利子率)÷標準偏差値 |
ポートフォリオの期待収益率 | 期待収益率×ポートフォリオの構成比 |
PER | 株価÷1株当たり当期純利益 |
PBR | 株価÷1株当たり純資産 |
ROE | 当期純利益÷自己資本×100 |
配当性向 | 1株当たり配当金÷1株当たり当期純利益×100 |
配当利回り | 1株当たり配当金÷株価×100 |
建築面積 | 敷地面積×建蔽率 |
延べ面積 | 敷地面積×容積率 |
相続税基礎控除 | 3,000万円+600万円×相続人数 |
死亡退職金・保険金 相続税控除額 | 500万円×相続人数 |
相続税精算課税制度 | 累計2,500万円まで非課税 贈与税=2,500万円を越えた金額×一律20% |
小規模宅地等について相続税課税価格の計算の特例 | 宅地の評価額×(限度面積÷宅地面積)×減額割合 |
宅地の相続税評価額(貸家建付地) | 自用地価額×(1−借地権割合×借家権割合×賃貸割合) |
老齢基礎年金の繰上げ・繰下げ

法改正で、0.5%→0.4%に変更になりました。
繰上げ
0.4%×繰上げた月数
法改正2022.4.1
繰下げ
0.7%×繰下げた月数

繰り下げの法改正点はこちら。
【法改正】
繰下げの上限 70歳→75歳
12ヶ月×10年×0.7%=最大84%増額
付加年金
年額=200円×月数

繰上げた場合は増額、繰り下げた場合は減額されます。
所得金額調整控除
給与収入850万超の人で、23歳未満のこどもがいる家庭のみが対象
給与収入が850万超の、23歳未満のこどもがいる家庭は、所得金額調整控除があります。
(給与収入−850万円)×10%
上限は、15万円

実際に解いてみましょう。
給与収入が1,050万円で23歳未満のこどもがいる場合、所得金額調整控除額は?
(解き方)
(1,050万円−850万円)×10%=20万円
上限は15万円なので、
(こたえ) 15万円
給与所得を計算するときに、所得金額調整額を控除するのを忘れないようにしましょう。
給与所得=給与収入−給与所得控除額−所得金額調整控除

収入と所得が難しいですよね。
収入は控除前、所得は控除後と覚えましょう。
>合わせて読みたいFP2級実技対策 所得税の計算問題の解き方
一時所得
一時所得=満期保険金額-正味払込済保険料−特別控除50万円

総所得に加えるときは、上記の金額×½です。
実際に解いてみましょう。
(問題)生命保険の満期保険金額400万円、正味払込済保険料300万円の場合、総所得に参入される一時所得の額はいくら?
(解き方)
満期保険金額400万円-正味払込済保険料300万円−特別控除額50万円=一時所得50万円
50万円×½=25万円←この金額を総所得に加えます。
(こたえ) 25万円
退職所得

勤続年数は、1年未満でも切り上げます。
たとえば、6ヶ月でも1年です。
退職所得控除額
【20年以下】70万×勤続年数
【20年超】800万+70万×(勤続年数−20年)
退職所得=退職金-退職所得控除額×½

実際に解いてみましょう。
AさんがX社から支給を受けた退職金の額 2,000万円
勤続年数は、30年1ヶ月
(問題)AさんがX社から受け取った、退職金に係る退職所得の金額はいくら?
(解き方)
退職所得控除額 800万円+70万円×(31年−20年)=1,570万円
30年1ヶ月なので、1年繰上げます
退職所得 (退職金2,000万円−所得控除1,570万円)×½=215万円
(こたえ) 215万円

勤務期間が5年以下の場合、計算が異なります。詳しくは以下のページから。
>関連記事【FP2級】退職所得の問題の解き方 退職所得と退職所得控除額の計算式を覚えるのがポイント!
シャープレシオ
(収益率−無リスク資産利子率)÷標準偏差値

暗記するときは、「標準偏差値で割る」と覚えるとかんたん。
練習で解いてみましょう。
(問題)無リスク金利が1%の場合、ファンドAとファンドBのシャープレシオは?
ファンド名 | 実績収益率の平均値 | 実績収益率の標準偏差値 |
---|---|---|
ファンドA | 4.2% | 2.0% |
ファンドB | 10.5% | 5.0% |
(解き方)
ファンドA
(4.2%−1.0%)÷2.0%=1.6%
ファンドB
(10.5%−1.0%)÷5.0%=1.9%
(こたえ)
ファンドA 1.6% ファンドB 1.9%
ポートフォリオの期待収益率
ポートフォリオの期待収益率=期待収益率×ポートフォリオの構成比
株式代表的な指標
PER=株価÷1株当たり当期純利益
PBR=株価÷1株当たり純資産
ROE=当期純利益÷自己資本×100
自己資本比率=純資産÷資産×100
配当性向=1株当たり配当金÷1株当たり当期純利益×100
配当利回り=1株当たり配当金÷株価×100

配当性向と配当利回りの違いは、配当性向は利益に対する配当金の割合、配当利回りは株価に対する配当金の割合です。
実際に解いてみましょう。
50期におけるROE(自己資本は、49期と50期の平均)と、配当利回りは?
少数点以下第3位を四捨五入して、小数点以下第2位まで求めること。
- 【株価】3,800円
- 【発行済み株式数】400株
- ※純資産の金額と自己資本の金額は同じ
単位(円)
49期 | 50期 | |
---|---|---|
資産の部 | 500,000 | 420,000 |
負債の部 | 200,000 | 120,000 |
純資産の部 | 300,000 | 300,000 |
売上高 | 280,000 | 250,000 |
営業利益 | 200,000 | 150,000 |
経常利益 | 120,000 | 110,000 |
当期純利益 | 110,000 | 50,000 |
配当金総額 | 80,000 | 40,000 |
(解き方)
49期と50期の自己資本(純資産)の平均を求めます。49期300,000円+50期300,000円÷2=300,000円
ROE=当期純利益50,000円÷自己資本(純資産)300,000円×100=16.6666…%
配当金総額を発行済み株数で割って、1株当たりの配当金に直します。
40,000円÷400株=100円
配当利回り=100円÷3,800円×100=2.6315…
(こたえ)ROE 16.67% 配当利回り 2.63%
建築面積・延べ面積
敷地面積×建蔽率
敷地面積×容積率

こちらに詳しい解き方があります。
>関連記事FP不動産 建築面積と延べ面積の解き方
相続税基礎控除
3,000万円+600万円×相続人数

実子がいて、さらに養子が複数いる場合、相続人数に加える養子の人数は1人だけです。
>関連記事FP2級 実技問題 相続税の問題の解き方 2022年5月試験の相続税の解き方も公開中!
死亡退職金・死亡保険金 相続税控除額
500万円×相続人数まで非課税

死亡退職金と死亡保険金の両方ある場合は、それぞれ500万×相続人数です。
実際に解いてみましょう。
(問題)相続人が3人、死亡退職金3,000万円、死亡保険金2,000万円の場合、相続税の課税価格に算入する価格は?
(解き方)
死亡退職金3,000万円-控除500万円×3人+死亡保険金2,000万円-控除500万円×3人=2,000万円
(こたえ) 2,000万円
相続時精算課税制度
特定贈与者からの受贈額の累計2,500万円まで非課税
贈与税=2,500万円を越えた金額×一律20%

父親と母親それぞれ個別に利用可能。
相続時精算課税制度と暦年課税は選択制。
父親は相続時精算課税制度、母親は暦年課税にしてもOK。
小規模宅地等について相続税課税価格の計算の特例
減額分=宅地の評価額×(限度面積÷宅地面積)×減額割合
相続税に算入すべき価額=宅地の評価額-減額分
居住用
区分 | 限度面積 | 減額割合 |
---|---|---|
特定居住用宅地等 | 330㎡ | 80% |

特定居住用宅地等は限度面積が330㎡なので、宅地面積が限度を超えている場合、面積の計算が必要です。実際に解いてみましょう。
(問題)自宅の敷地の評価額が1億円、宅地面積400㎡の場合、相続税の課税価格に算入すべき価額は?
(解き方)
1億円×330㎡÷400㎡×80%=減額分6,600万円
1億円-減額分6,600万円=3,400万円
(こたえ) 3,400万円

宅地面積が330㎡までの場合は、面積の計算は不要で、1億円×80%=8,000万円
1億円-8,000万円=2,000万円です。
事業用
区分 | 限度面積 | 減額割合 |
---|---|---|
特定事業用宅地等 | 400㎡ | 80% |
特定同族会社事業用宅地等 | 400㎡ | 80% |
貸付事業用宅地等 | 200㎡ | 50% |

減額分の計算式です。
下記の宅地の相続税評価額と間違いやすいので注意しましょう。
宅地の相続税評価額
自用地 | 自用地価額 |
借地権 | 自用地価額×借地権割合 |
貸宅地 | 自用地価額×(1-借地権割合) |
貸家建付地 | 自用地価額×(1-借地権割合×借家権割合×賃貸割合) |

宅地の評価額の計算式です。よく出るのは貸家建付地の問題。
実際に解いてみましょう。
(問題)貸家建付地の自用地価額が1億円、借地権割合60%、借家権割合30%、賃貸割合100%の相続税評価額は?
(解き方)
自用地価額1億円×(1−借地権割合60%×借家権割合30%×賃貸割合100%)=8,200万円
(こたえ) 8,200万円

かんたんな解き方を紹介。
60%×30%×100%=18%ですよね。
あとは100%−18%=82%
1億円×82%=8,200万円
FP実技対策 実技問題で覚える控除額
配偶者控除 | 900万円以下 | 38万円 |
扶養控除 | 一般扶養親族(16歳以上) | 38万円 |
特定扶養親族(19歳以上~23歳未満) | 63万円 | |
老人扶養親族(同居70歳以上) | 58万円 | |
基礎控除 | 2400万円以下 | 48万円 |
給与所得控除 | 給与収入162.5万円以下 | 55万円 |
住宅借入金控除 | 合計所得2,000万円以下 | 年末時点における住宅ローン残高×0.7% |
生命保険控除 | 所得税 | 4万円 (最高12万円) |
住民税 | 2万8,000円 (最高7万円) | |
医療費控除 | 通常の医療費 | 10万円を超えたとき(最高200万円) |
セルフメディケーション | 12,000円を超えたとき(最高88,000円) | |
寄付金控除 | [寄付金−2,000円]または、総所得の40%の低い方 | |
暦年課税による贈与税基礎控除 | 110万円 |
配偶者控除
合計所得金額 | 一般の控除対象配偶者 |
900万以下 | 38万円 |
900万超950万以下 | 26万円 |
950万超1000万以下 | 13万円 |
扶養控除
所得控除 | 年齢 | 控除額 |
---|---|---|
一般扶養親族 | 16歳以上 | 38万円 |
特定扶養親族 | 19歳以上~23歳未満 | 63万円 |
老人扶養親族(同居) | 70歳以上 | 58万円 |
(同居以外) | 70歳以上 | 48万円 |
基礎控除

よく出題されるのは基礎控除額48万円です。
所得金額 | 基礎控除額 |
---|---|
2400万円以下 | 48万円 |
2400万円超2450万円以下 | 32万円 |
2450万円超2400万円以下 | 16万円 |
2500万円超 | 0円 |
給与所得控除
最低額 55万円(給与収入162.5万円以下)
最高額 195万円(給与収入850万超)
住宅借入金特別控除
年末時点における住宅ローン残高×0.7%
2022年4月1日法改正
控除率1%→0.7%
合計所得3,000万円→2,000万円
生命保険料控除
所得税は、年間の保険料が8万円超の場合のみ対象
住民税は、年間の保険料が5万6,000円超の場合のみ対象
税金 | 一般の生命保険料控除 | 介護保険料控除 | 個人年金保険料控除 |
---|---|---|---|
所得税 | 4万円 | 4万円 | 4万円 |
住民税 | 2万8,000円 | 2万8,000円 | 2万8,000円 |

所得税の限度額は12万円、住民税は7万円です。
医療費控除
支払った医療費が10万円を超えたとき、最高200万円まで
医薬品購入金額が12,000円を超えたとき、最高88,000円まで

分かりやすくするために説明を簡略化しているので、詳しい詳細はテキストで確認してくださいね。
寄付金控除
[寄付金-2,000円]または、
[総所得の40%]のどちらか低いほう
暦年課税による贈与税基礎控除
110万円
まとめ
FPの実技問題は、主に〇×問題や穴埋めと、計算問題に分かれます。
〇×問題や穴埋めは、学科の問題を覚えておけば点数は取れますが、計算問題は、計算式を覚えていないと点数が取れません。
実技試験の対策は、学科の基礎をしっかり覚えることと、計算式や控除額をしっかり覚えることの2つです。
>関連記事FP 実技問題の基本的な勉強方法
今回の記事を参考に勉強をしてみて下さいね。