FPファイナンシャルプランナーの試験は、「ライフプランニングと資金計画」「リスクマネジメント」「金融資産運用」「タックスプランニング」「不動産」「相続・事業承継」の6つの分野から出題されます。
その中で、「タックスプランニング」の勉強内容は、主に税金のことです。
タックスプランニングの計算問題攻略のコツは、所得別に計算方法を覚えること。
所得によって控除額や計算方法が異なるので、何度も解いて解き方を身に付けることが大事です。
たとえば退職所得の場合だと、退職所得控除額と退職所得の求め方、2つの計算式をマスターすれば問題が解けるようになります。
今回は、タックスプランニングの分野からよく出題される、退職所得の計算方法について紹介します。
【FP2級】タックスプランニングで勉強する所得について
所得の種類は?
所得は全部で10種類あります。
- 利子所得
- 配当所得
- 不動産所得
- 事業所得
- 給与所得
- 退職所得
- 山林所得
- 譲渡所得
- 一時所得
- 雑所得
【FP2級】退職所得と退職所得控除額の計算方法
10種類の所得の中から、「退職所得」の計算方法について説明しますね。
退職所得とは?
退職時に受け取る退職金のこと
退職所得は、退職するときに勤務先から一時的に受け取る退職金のことです。
退職所得の基本の計算式
退職所得=(収入金額−退職所得控除額)×1/2
退職所得は、退職金の額から退職所得控除額を引いた額に1/2をかけて求めます。
退職所得控除額の計算式
所得控除額はこちら。
勤続年数 | 退職所得控除額 | |
---|---|---|
① | 20年以下 | 40万円×勤続年数 |
② | 20年超 | 800万円+70万円×(勤続年数−20年) |
- 退職所得控除額の最低額は80万円
- 勤続年数が1年未満の端数が生じる場合は切り上げ(例)25年1ヶ月→26年
退職所得の問題の解き方
それでは実際に計算してみましょう。
問題1
X社から受け取った退職金2,000万円、勤続年数が14年3ヶ月の場合、退職所得控除額と退職所得はいくら?
解き方
(答え)
【退職所得控除額】600万円
【退職所得の金額】700万円
勤続年数に1年未満の端数が生じるので切り上げて、勤続年数は15年。
勤続年数が15年なので、①の20年以下の計算式を使います。
計算式に当てはめると、退職所得控除額は40万円×15年=600万。
あとは、退職所得を求める計算式に当てはめて計算するだけ。
(収入金額2,000万円−控除額600万円)×1/2=退職所得700万円
問題2
X社から受け取った退職金3,000万円、勤続年数が25年1ヶ月の場合、退職所得控除額と退職所得はいくら?
解き方
(答え)
【退職所得控除額】1,220万円
【退職所得の金額】890万円
勤続年数に1年未満の端数が生じるので切り上げて、勤続年数は26年。
勤続年数が20年超なので、②の20年超の計算式を使います。
計算式に当てはめると、退職所得控除額は800万円+70万円×(勤続年数26年−20年)=1,220万円。
あとは、計算式に当てはめて退職所得を計算するだけ。
(収入金額3,000万円−退職所得控除額1,220万円)×1/2=退職所得890万円
勤続年数が5年以下の場合は、計算方法が変わります。
退職所得の計算式(勤続年数が5年以下の場合)
役員以外の人で勤務期間が5年以下のときは、(収入金額−退職所得控除額)が300万円以下と300万円超で退職所得の計算式が異なります。
※勤務年数が5年以下の役員の人は、退職所得=(収入−退職所得控除額)です。
役員の人の計算は省きます。役員以外の人の場合を説明しますね。
収入から退職所得控除額を引いた額が、300万円以下の場合は、通常の計算式と同じです。
ただし、300円超の場合は、退職所得を求めるときに1/2をかけません。
(収入金額−退職所得控除額)が300万以下の場合
退職所得=(収入金額−退職所得控除額)×1/2
(収入金額−退職所得控除額)が300万円超の場合
300万超の場合のみ計算式が変わって、1/2をかけません。
退職所得=150万円+{収入金額−(300万円+退職所得控除額)}
退職所得控除額は、20年以下の方を使います。
勤続年数 | 退職所得控除額 | |
---|---|---|
① | 20年以下 | 40万円×勤続年数 |
実際に解いてみましょう。
問題1
X社から受け取った退職金300万円、勤続年数が2年1ヶ月の場合、退職所得控除額と退職所得はいくら?
解き方
(答え)
【退職所得控除額】120万円
【退職所得の金額】90万円
勤続年数に1年未満の端数が生じるので、切り上げて勤続年数は3年。
所得控除の計算式に当てはめると、退職所得控除額は、40万円×3年=120万円
※(収入300万円−退職所得控除額120万円)=180万円なので、300万以下の計算式を使います。
退職所得の計算式に当てはめると、退職所得は、(300万円−120万円)×1/2=90万円
問題2
X社から受け取った退職金550万円、勤続年数4年11ヶ月の場合、退職所得控除額と退職所得はいくら?
解き方
(答え)
【退職所得控除額】200万円
【退職所得の金額】200万円
勤続年数に1年未満の端数が生じるので切り上げて、勤続年数は5年。
所得控除の計算式に当てはめると、退職所得控除額は、40万円×5年=200万円
※(収入550万円−控除額200万円)=350万円なので、300万超の計算式を使います。
計算式に当てはめると、退職所得は、150万円+{収入550万円−(300万円+控除額200万円)}=200万円
まとめ
「タックスプランニング」の分野でよく出題される、退職所得と退職所得控除額の解き方を紹介しました。
FPの試験で出題される計算問題は、パターンが決まっています。
計算問題の攻略のコツは、計算式を覚えること。
そして、実際に何度も問題を解いて解き方を覚えること。
ただ単に式を暗記するだけじゃなくて、実際に問題を解くことで自然と問題が解けるようになっていきます。
ぜひ、今回の記事を参考に退職所得の問題を解いてみてくださいね。